- 9月 23, 2026
ピルを飲むと将来妊娠しやすくなる?妊娠しにくくなる? どちらも少し違います|産婦人科医が解説|神楽坂・飯田橋・江戸川橋の産婦人科
診察室で、ピルについてこんな質問を受けることがあります。
「将来妊娠したいので、今からピルを飲んでおいた方がいいですか?」
「ピルで排卵を止めておけば、卵子が減らずに残るんですよね?」
「ピルを長く飲んでいると、将来妊娠しにくくなりませんか?」
「ピルをやめたら妊娠できますか?」
実は、「ピルを飲むと将来妊娠しやすくなる」も、「ピルを飲むと将来妊娠しにくくなる」も、どちらも正確ではありません。
「排卵を止めれば卵子が減らない」は誤解です
ここはとてもよく誤解されているところです。
女性の卵巣にはたくさんの卵胞がありますが、毎月排卵される1個だけが減っているわけではありません。
出生時の卵巣には、一般に約100万〜200万個の原始卵胞があるとされています。
しかし、その大部分は排卵に至らず、自然に消失していきます。
生涯で実際に排卵される卵子は約400個程度にすぎず、多くの卵胞は排卵とは別に年齢とともに減っていきます。
そのため、
「ピルで排卵を100回止めたから、卵子が100個余分に残る」
ということではありません。
つまり、ピルは卵子を“温存する”ための薬ではありません。
子宮内膜症がある場合は、少し話が違います
月経痛が強い方の中には、子宮内膜症が隠れていることがあります。
ピルなどのホルモン治療は、子宮内膜症による痛みや病変の活動を抑えるために使われます。そのため、妊娠を希望するまで症状や病気をコントロールすることには意味があります。
特に、強い月経痛は子宮内膜症のサインであることがあります。
「生理痛だから仕方がない」と我慢せず、早めに婦人科で相談し、必要に応じてピルなどで治療していくことが大切です。
では、ピルを飲むと将来妊娠しにくくなる?
こちらも心配される方がとても多いです。
「月経痛の治療でピルを勧められたけれど、将来妊娠できなくなりませんか?」
と聞かれることがあります。
これについては、ピルを飲んだから将来不妊になる、という根拠はありません。
WHOも、経口避妊薬は不妊の原因にはならず、中止後には妊娠する力が速やかに戻るとしています。
ピルをやめれば排卵が再開し、妊娠可能な状態に戻っていきます。
妊娠には、年齢、排卵、卵巣予備能、卵管、子宮、精子など、さまざまな要因が関係します。検査をしても原因がはっきりしない不妊症もあります。
つまり、ピルを飲んでいたことと、その方が将来必ず妊娠できるかどうかは別の問題なのです。
ピルは、将来妊娠しやすくするために飲む薬ではありません。
でも、ピルを飲んだから将来妊娠しにくくなるわけでもありません。
目的や現在の症状に合わせて、上手に使っていくことが大切です。
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