• 6月 28, 2026

更年期のつらい症状、どう治療する?(ホルモン補充療法編)

更年期の方から、
「急に顔が熱くなり、汗が止まらない
「夜中に汗をかいて目が覚める
眠りが浅く、疲れがとれない
イライラや気分の落ち込みがつらい
ホルモン治療は乳がんが心配
といったご相談を受けることがあります。

更年期障害に対する治療の一つに、ホルモン補充療法があります。
ホルモン補充療法は、英語の頭文字をとって「HRT」とも呼ばれます。

ホルモン補充療法とは?

更年期になると、卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンが大きく揺らぎながら減少していきます。

ホルモン補充療法は、この卵巣から分泌される女性ホルモンを補うことで更年期のさまざまな症状を改善する治療です。

どのような症状に効果がありますか?

ホルモン補充療法は、特に、
・ほてり、のぼせ
・発汗、寝汗
・動悸
・不眠
・気分の落ち込み
・関節痛
・外陰部や腟の乾燥
・性交痛

などに効果が期待できます。

中でも、ほてり、のぼせ、発汗などのホットフラッシュには、効果の高い治療です。
また、閉経後に進みやすい骨密度の低下を抑え、骨粗しょう症を予防する効果も期待できます。

ただし、疲れやだるさ、気分の落ち込みなどは、すべてが女性ホルモンの低下によって起こるわけではありません
症状の原因を確認したうえで、ホルモン補充療法が適しているかを判断します。

どのような薬を使いますか?

エストロゲン製剤には、
・飲み薬
・貼り薬
・塗り薬

があります。

貼り薬塗り薬は、皮膚から吸収されて血液中に入るため、飲み薬に比べて血栓症への影響が少ないとされています。
皮膚がかぶれやすい方、毎日薬を飲むのが苦手な方など、それぞれの体質や生活に合わせて選びます

子宮がある方は黄体ホルモンも使用します

子宮がある方がエストロゲンだけを長期間使用すると、子宮内膜が厚くなり、子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスクが高くなります。
そのため、子宮がある方は、子宮内膜を守るために黄体ホルモンを併用します。
子宮を摘出している方は、原則としてエストロゲンだけを使用します。

当院では天然型黄体ホルモン製剤を使用しています

当院では、子宮のある方のホルモン補充療法に、天然型黄体ホルモン製剤である「エフメノ」を積極的に使用しています。

エフメノは、身体の中でつくられる黄体ホルモンと同じ構造をもつ薬です。

エストロゲンと適切に併用することで子宮内膜を守り、エストロゲン単独使用による子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスク上昇を抑えます
また、天然型プロゲステロンは、一部の合成黄体ホルモン製剤と比べて、乳がんリスクへの影響が少ない可能性があるとされています。

ただし、乳がんのリスクがまったくなくなるわけではありません。治療中は定期的に乳がん検診を受けることが大切です。

出血が起こることがあります

ホルモン補充療法を始めたばかりの時期には、不規則な出血が起こることがあります
年齢や閉経からの期間、月経の状態、ご本人の希望などを考慮しながら、薬の使い方を選びます。

しばらくすると落ち着くことも多いですが、出血が続く場合や、出血量が多い場合には診察が必要です。

副作用はありますか?

治療を始めた頃には、
・乳房の張りや痛み
・不正出血
・お腹の張り
・吐き気
・むくみ
・頭痛

などがみられることがあります。

これらは、身体がホルモンに慣れるにつれて軽くなることもあります
症状がつらい場合には、薬の量や種類、使用方法を変更することで改善することがありますので、自己判断で中止せずご相談ください

ホルモン補充療法のリスクは?

ホルモン補充療法を始める際には、治療によって期待できる効果だけでなく、乳がん、子宮体がん、血栓症などへの影響についても確認することが大切です。

乳がんへの影響

長期間続けた場合には、乳がんのリスクがわずかに高くなる可能性があります。
短期間の使用ですぐに大きくリスクが上がるわけではありません

もともとの乳がんのリスクや症状の程度、治療によって得られるメリットを考えながら、一人ひとりに合った方法を選びます。

治療中は、定期的に乳がん検診を受けましょう。

子宮体がんへの影響

子宮がある方がエストロゲンだけを長期間使用すると、子宮内膜が厚くなり、子宮体がんのリスクが高くなります。

そのため、子宮がある方には、子宮内膜を守るために黄体ホルモンを併用します。

適切に黄体ホルモンを併用することで、子宮体がんのリスク上昇を抑えます

治療中に不正出血が続く場合や、出血量が多い場合には、子宮内膜の状態を確認するための検査が必要です。

血栓症への影響

ホルモン補充療法では、静脈血栓症のリスクがわずかに高くなることがあります。

特に、飲み薬のエストロゲンは肝臓を通って作用するため、貼り薬や塗り薬に比べて血栓症への影響が大きいとされています。

年齢、肥満、喫煙、血栓症の既往なども考慮し、その方に合った薬の種類や使用方法を選びます。

治療中に、片脚の急な腫れや痛み、突然の息苦しさ、胸の痛みなどが現れた場合には、すぐに医療機関を受診してください。

ホルモン補充療法を受けられない方もいます

次のような方は、原則としてホルモン補充療法を受けることができません。
・乳がんの治療中、または乳がんの既往がある方
・現在、子宮体がんの治療中の方
・原因の分からない不正出血がある方
・血栓症の治療中、または既往がある方
・心筋梗塞や脳卒中の既往がある方
・重い肝臓病がある方
・妊娠している可能性がある方

このほかにも、持病や年齢、閉経からの期間によっては、慎重に判断する必要があります。

現在治療中の病気や、これまでにかかった病気について、診察時に必ずお伝えください。

治療前と治療中には検査を行います

ホルモン補充療法を始める前には、症状や月経の状態、持病、これまでにかかった病気などを確認します。

必要に応じて、
・血圧測定
・血液検査
・子宮や卵巣の超音波検査
・子宮頸がん検診、子宮体がん検査
・乳がん検診

などを行います。

治療開始後も、症状や副作用を確認しながら、定期的に診察や検査を受けることが大切です。

いつまで続けますか?

ホルモン補充療法を続ける期間は、一律に決まっているわけではありません。
症状の変化、年齢、持病、治療によるメリットとリスクを定期的に確認しながら、継続するかどうかを判断します。
その時の体調に合わせて相談していきましょう。

自分に合った治療を選びましょう

ホルモン補充療法は、ほてりや発汗などの更年期症状に対して、効果が期待できる治療です。
一方で、すべての方に同じ薬を使用できるわけではありません。
症状の内容や程度、持病、治療への希望などを確認しながら、その方に合った薬と使用方法を選びます。

「ホルモンは怖い」と最初から選択肢から外す必要はありませんが、メリットだけでなく注意点も理解したうえで治療を受けることが大切です。

更年期の不調を我慢せず、まずはご相談くださいね。

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